仕事のストレスは、どうやって解消する?原因と対策をわかりやすく解説
切っても切り離せない、仕事とストレスの関係。 仕事を持つ社会人を対象にしたアンケート調査では、約半分以上の人が、仕事に対して何らかのストレスを抱えているという結果が出たそうです。 では、働いてる人のストレスというのはどのようなものがあるのでしょうか。 今回は社会人年数やキャリア別に具体的な事例を交えながら、仕事が辛いと感じる原因や、その状態を脱出するための解決策について説明します。
キャリアとストレスの関係
3年目、5年目、10年目と、入社してからの在籍期間によって仕事に対する感じ方は変わってきます。
ビジネスパーソン向けの研修などで、どのような悩みを抱えているのか受講者にアンケートを取ってみると、3年目までの方の場合、仕事に追われていて楽しむ余裕がないという話が多く挙がります。
一方で、5年以上在籍している方に話を聞くと、勤務を続けるうちに楽しくなってきたと答える方の割合が増えてきます。
仕事に慣れてくると仕事に対する辛さよりも、そのやり甲斐やおもしろさを感じやすくなるということがわかります。
一方で、5年・10年と歴を重ねた方にも、若い社員とは違ったストレスを抱えていることも間違いありません。
社会人の年数やキャリア・状況に応じて、どのようにストレスを感じるのか・その違いは何なのかを4つのパターンに分類して、その原因や対処法について詳しく見ていきましょう。
立場によってストレスの原因は異なる
入社して間もない若手社員の場合、仕事自体やその環境に慣れていないため、ストレスを感じやすく些細なことでもふまんにつながってしまうことがあります。
このような時は、入社前に描いたイメージと入社後に感じた現実とのギャップをストレスと感じることが少なくありません。
転職や異動の場合も同様に、新しい環境に戸惑ったり、新人と同様にギャップに苦しむケースが多くあります。
4~5年目になると、仕事にやりがいを感じ仕事自体にも慣れてきます。中堅社員として1人で仕事を任されるといったことも増えてくるでしょう。
こうしたことにやり甲斐を感じることは多くいますが、この変化にうまく順応できずプレッシャーを感じてしまうという方もたくさんいます。
そこから更に経験を積んで管理職や部長クラスになると、部下や後輩との関係性が仕事における主なストレスとして挙げられます。
更に、40代特有の悩みとして、自分の将来に対する不安を感じたり、今の仕事が辛いと感じ始めるケースも少なくありません。
このように、経験年数や立場別に違うストレスの原因について、具体的な事例を交えながらその内容と解決策を見ていきましょう。
入社1~3年目の場合
入社して半年経っても1人でできないことが多いという人はたくさんいます。そうすると、自分の覚えの悪さに自信を無くしたり、自分自身の働きぶりに嫌気がさすということも出てきます。
入社1~3年目は入社前に思い描いてた理想と、入社後に見えてきた現実とのギャップに悩む方が多くいます。
どの部分にギャップを感じるかは人それぞれで異なりますが、自分自身の能力を目の当たりにして悩む方も少なくありません。
自己認識していた自分とのギャップや、仕事がなかなかうまくいかないという現実に直面して、自信を無くしたり、仕事を嫌だと思うようになっていきます。
学生時代の勉強や研究では、自分の努力次第である程度の成果を出すことができます。
全てすぐに結果に結びつくわけではないのが仕事です。
要領の良さや誰かに頼るということが必要だったり、起点や判断力が成果に直結し、結果を左右する場合も多くあります。
マニュアルが決まったルーティンがあって、その通りに仕事を進めればいいという業務内容であれば、社会人経験の少ない方であっても成果を出すことができます。
しかし、自由度の高い仕事になると、仕事の内容をキャッチアップするまでに時間がかかります。
つまり、新人のうちは仕事の能力がなくて当たり前であり、ギャップがあって当たり前という状態なのです。
自分や仕事に自信を持ち過ぎると、ギャップが生まれやすくなってしまいます。
最初はできなくて当たり前という考え方を基本として、謙虚さを持って仕事に向き合うようにすると、不要なストレスを抱え込まなくて済むでしょう。
〇ストレスを乗り越えるポイント
このような状況になった時に、解決策の1つとして実行してほしいことがあります。
それは、思い描いていた理想やイメージと、それに対する現実を書き出して、ギャップが発生している箇所を、どれくらい大きなギャップなのかを客観的に把握することです。
そのギャップが自分のな能力に起因ことであれば、まずは事実を受けいれることが大切です。
自分の能力以上に仕事ができるという思い込みから一度離れることで、現実との差を埋めていくことが初めてできるようになります。
できることとできないことを冷静に見極めた上で、今の自分を受け入れましょう。そうすることで、今自分が何をすべきか、これからどうしていくべきかが見えてきます。
これからのキャリアビジョンや成長目標を決めて1つずつギャップを埋めていきましょう。そうすることで、自信が持てるようになり、経験を重ねるにつれて仕事に対する楽しいという気持ちややりがいが生まれてきます。
異動や転職したばかりの場合
経験を活かせる会社や部署に移ったものの社風の違いに戸惑っているという方もいます。思ったような成果が出せないことで、周りに対する焦りを感じたり、取り残されたような気持ちを感じるケースもあります。
新卒の頃に比べ、転職や異動をした場合、社会人経験を積んでいる為、即戦力としての能力を求められます。新しい環境にも順応しやすいと一般的には考えられがちですが、入社前のイメージと入社後の現実のギャップにストレスを感じる方も珍しくありません。そのギャップをきっかけに精神的な不調を起こすケースもよくあります。
これまでの得てきた経験から自分の能力に対して自信を持っているからこそ新しい環境や仕事にうまく馴染めないと周りからの印象が気になり新卒の時以上に大きなストレスを感じてしまうという場合もあります。
〇ストレスを乗り越えるポイント
異動先や転職先で大きなギャップを生まないためにも、これまでの経験や知識にこだわらず、新しい知識やノウハウを吸収しようとする柔軟な意識が大切です。
成果がイメージ通りに出ないという場合は、今できていることとできていないことを明確にして客観視してみましょう。ギャップを早期に埋めるためには、現実を受け入れて自分に足りない部分を自覚することが大切です。
中堅層の場合
仕事や環境に慣れてくると、若手社員を教育する立場に任命されることも増えてきます。
大きな裁量で仕事を任されるようになることで、プレッシャーを感じストレスを感じる方も多くいます。
社会人年数を積んで中堅層になってくると仕事ができて当たり前という立場になります。そのため、新しい仕事やポジションを任される機会も増えます。
自分の責任で判断したり、頻繁に1人で対応しなくてはならない状況が出てくる時期になります。
大きな裁量を持てるようになり、それがモチベーションに繋がる一方で、上司や先輩からのサポートを受けにくいといった環境の変化に戸惑い、過剰な責任感や孤独感を感じてしまう方も少なくありません。
裁量が大きい仕事を任されるようになると、期待に応えようとする気持ちから仕事を1人で抱え込んでしまう傾向にあります。
誰かに頼ることをかっこ悪いと思ったり、一人で最後まで完遂しないといけないという気持ちが強くなり、周りに相談できなくなる人が少なくありません。
そうすることで過大なプレッシャーを抱えやすくなってしまいます。
大切なのは周りに頼るという選択肢を持っておくことです。1人で仕事を抱え込もうとすることなく、困った時に相談できる相手を用意しておくこと言うことが大切です。また、その選択肢は多く持っておいた方がいいと言えるでしょう。頼れる人がたくさんいるほど、不安やプレッシャーを感じることが少なくなり、ストレスを軽減することができるようになります。
〇ストレスを乗り越えるポイント
このような場合、我慢することなく素直に誰かを頼ることが大切です。仕事を任せれ引き受けた以上、自分から言い出しにくいという面もあると思いますが、そういう人にこそ意識してほしいのがアサーションとうコミュニケーション手法です。
アサーションの1つにあるDESC法に従い、サポートしてほしいという気持ちを伝えることで、自分の評価や人間関係を崩すことなく周りからの理解を得られるようになるでしょう。
もう1つプレッシャーとうまく付き合う方法があります。それは成長目標を自分で立てることです。
例えば、今回のようなケースの場合は大きな仕事を任されても自信もって対応できるようになるという目標を持つといいかもしれません。
そうすることで、今の状況を前向きに捉えられるようになり、責任が重くて辛い状況を成果するためのチャンスと捉えられるようになります。
そうすると結果的に仕事のやりがいや働きがいといったワークエンゲージメートが高まり、プレッシャーを感じながらも目標に向かって仕事を楽しめるようになります。
部長やマネージャークラスの場合
管理職になると部下全員の意見や悩みを聞くだけで大変になります。部署として結果が思わしくないようなこともあるかもしれません。そうすると自分のキャリアが不安になり、今のままでいいのかと悩みを抱えることになります。
管理職がストレスを感じる原因は部下に関することが多くあります。部下の人数が多いと管理や指導だけでも工数がかかりますし、メンバー同士の人間関係など悩みのタネになることも多いです。
組織として結果が出ていればその苦労も報われるかもしれません。結果が出てない時には余計にストレスが溜まります。
また、社会人としての経験が15年を超えてくると、それまで身につけた知識やノウハウがあるため、仕事に対して大きな自信を持つようになります。
一方で、年齢的に40歳前後になるため、転職をする最後のチャンスという状況になります。これまでの経験を生かして新しい道へ進むべきか、このまま現職に残り続けるべきか、キャリアの選択をするタイミングになります。こうした将来似たする迷いや不安がストレスの要因になりやすいとも言えるでしょう。
管理職として部下や後輩への対応に振り回されないために、組織の結果や目指すべきゴールを常に重要視するように意識しましょう。管理職の仕事は部下全員から好かれることではないです。好かれることに気を使っても時間と手間がかかるだけで、成果が出ないこともあります。
組織として結果を出すために今何をするべきかを基準として、部下に対する効果的な接し方や伝え方を実践するのがいいと言えるでしょう。
将来のキャリアを判断する基準は、自分の価値基準を明確にすることが大切です。
社会人経験が浅いうちは成長目標を持つことが重要でしたが、十分な経験を積んでからは価値基準を持つことを意識しましょう。
仕事を通じて何を実現したいのか、何を求めているのか、こういった価値基準が明確になっていると、転職して他の道を選んでも、現職に残ったとてしも、やるべきことが明確に見えてくるはずです。
〇ストレスを乗り越えるポイント
管理職は組織の結果やゴールを追求する立場です。その為には、部下や後輩に対して厳しいことを言わなくてはならない時も多くあります。
そういった時にアサーションという手法が役に立ちます。
アサーションは部下から上司へ言いにくいことを伝える以外にも、上司から部下へ指示や指導をする時にも有効な手段です。
攻撃的な印象を和らげ、相手を傷つけずに自分の言いたいことを伝えることができる方法です。
自分の価値基準を明確にするには、これまでのキャリアを振り返りましょう。その中で自分が大切にしてきたことを書き出してみてください。お金、社会貢献、色々な要素があると思います。他人と比較するものでもないので、まずは書き出して、優先順位をつけていくと自分が何を大切にしているかが見えてきます。
転職はストレスの解消策になる?
仕事が辛いからという理由ですぐに転職をするのは社会人としての年数に関係なくいい選択肢ではありません。
今うまくいってないとしたら別の方法を試す、それでもダメだった時はまだ違う方法を試す。
今の環境でやれることをやってみて、それでも現状が変わらなかったり、環境が好転しないようであれば、その時に初めて転職という選択肢を考えるべきです。
特に入社して1~3年の若手社員の場合、成長目標をしっかりと持って今の自分にやれることがないか考えていきましょう。
仕事というのは続けてみて初めてわかることがたくさんあります。もしかしかたらとてもやりがいを感じる仕事であったとしても、イメージと違ったや覚えるのが大変という理由で見切りをつけてしまうのは成長の機会を逃すことになります。
管理職になって経験を十分に積んだような方であれば今の仕事と自分の価値基準を照らし合わせてみて、その2つが合わないと思ったら転職を選択肢として考えるのも1つです。まずは価値基準をしっかりと明確にしましょう。価値基準を持たずに転職をするのは非常にリスクの高いものです。十分に注意しましょう。
まとめ
自分が感じているストレスの原因がどこにあるのかを自覚して、それを改善するためのクションを起こせない人は転職して環境を変えても、ほぼ間違いなく同じように仕事に悩みを抱えたり、仕事に対して不満を感じることになるでしょう。
場所を変えただけというのは言い換えれば逃げただけに過ぎません。それでは何も状況は変わりません。
転職をするしないに関わらず、仕事が辛かったり悩みを抱えているのであれば、まずはその原因や課題に向き合うことが大切です。
自分の中の成長目標や価値基準を明確にし、今の環境で行動することを優先としつつ、その延長線状に1つの選択として転職を置いておくというのが理想です。